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わしのきほん 和紙の基本
 和紙のはじまり  和紙ってどんなもの?  原料のこと  植物が和紙になるしくみ
 和紙の種類  この紙どんな紙?

和紙ってどんなもの?
紙とは? 和紙とは?
 紙とは、植物の繊維(せんい)を水に混ぜたものを濾(こ)して、薄(うす)く平らに絡(から)み合わせ、乾(かわ)かしたもののことです。書いたり印刷したり、ものを包んだりするのに使います。
 和紙は日本古来(こらい)の独特の手法で作られた紙の総称(そうしょう)です。洋紙(ようし)に対することばで、「わがみ」ともいいます。
 原料や作り方は時代や場所によって違いますが、紙の作り方そのものの原理(げんり)は同じです。日本では、中国から伝わった技術をもとにして、原料に楮(こうぞ)を使う、楮の長い繊維を絡み合わせるために「ねり」を使う、などの独自の製法を完成させました。そして工芸的にも優(すぐ)れた製品が生産されるようになったのです。
 本来の和紙は、楮、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)を原料とし、
煮(に)る → 漂白(ひょうはく) → ちりを取り除(のぞ)く → 叩(たた)いて柔(やわ)らかくする → 漉き具を使って漉く
という手順で作ります。和紙は、原料に植物からとった「ねり」と呼ばれる粘液を混ぜて漉き上げる「流し漉き法」によって作られます。「流し漉き」に対し、一般的な紙の製法は「溜め漉き」と呼ばれています。「流し漉き」は日本人が独自に考え普及(ふきゅう)させたもので、熟練(じゅくれん)の手業(てわざ)が必要とされる難しいものです。

和紙の特徴
 和紙の特徴としては、
長い繊維が絡み合いすき間が多いので、通気性がよいこと
丈夫(じょうぶ)で傷(いた)みにくいこと
があげられます。こういった特徴のおかげで、千年以上も前の書類や経本(きょうほん)などを後世(こうせい)に残すことができているのです。

いろいろな和紙、いろいろな使いみち
 和紙づくりは、江戸時代には土佐(とさ)、美濃(みの)、越前(えちぜん)、若狭(わかさ)、駿河(するが)などをはじめ全国に普及(ふきゅう)し、各地で特色ある製品が作られ、その種類は数百にも達しました。 和紙の長い伝統は、ほかの国には見られない日本特有の文化を作りました。書写用だけでなく、多彩(たさい)な加工によって提灯(ちょうちん)、和傘(わがさ)、障子(しょうじ)、ふすまなど、日常生活の必需品(ひつじゅひん)として多くの使いみちが生まれました。世界に数ある紙の文化の中でも和紙が独特といえるのは、まさにこの点なのです。
 明治以降は生活様式の変化とともに実用性(じつようせい)を失い、洋紙を多く使うようになったため和紙の生産は減りましたが、近年では工芸品や造形美術(ぞうけいびじゅつ)の素材(そざい)として見直され、伝統産業として保護(ほご)育成されています。

世界からも認められた和紙
 和紙は以前からも、絵画・彫刻(ちょうこく)などの美術品や書籍(しょせき)などの修復(しゅうふく)においては、世界中で重用(ちょうよう)されてきました。2014年に埼玉(さいたま)県の細川紙(ほそかわし)、岐阜(ぎふ)県の本美濃紙(ほんみのし)、島根県の石州半紙(せきしゅうばんし)の3つの和紙がユネスコの無形文化遺産に登録されたことにより、さらに注目され新しい使い方も生まれていくことでしょう。