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にしじまのわしづくり 西嶋の和紙づくり
 原料の特色  製法の特色  品質の特色  西嶋で作られてきた紙

製法の特色
原料を共同処理

 西嶋では、和紙の原料の処理を西嶋和紙原料組合で共同で行っています。 稲わら、バナナ、マニラ麻などの処理の難しい原料は、西嶋和紙原料組合の共同施設で処理します。
 西嶋和紙原料共同施設は、原料の自給態勢(たいせい)を作ることを目的に、昭和56(1981)年度の「地域経済振興(しんこう)対策事業」として、自治省(じちしょう)の指定を受けて作られました。共同公害設備(排水浄化装置)を建設することにより、環境保全の態勢も整っています。

「セイコー式」の開発

 紙を漉くときには、舟ごとに「原料」「水」「ねり」を配合しますが、紙を漉いているうちにだんだんと原料の濃度(のうど)が薄(うす)くなり、できあがる紙の質も微妙(びみょう)に変化してしまいます。 その対策として開発された「セイコー式簡易(かんい)抄紙(しょうし)装置」によって、一日中一定の原料配合ができるようになり、西嶋和紙の紙質の均一性(きんいつせい)が保たれています。

紙漉き
セイコー式装置

紙漉き槽の背後上部に、左右にパイプが通っています。ポンプで汲み上げられた原料の液がパイプの中を通り、勢いよく簀桁に流れ込む仕組みです。汲み上げの操作は足元で行います。
天日乾燥 天日乾燥
天日で乾燥、「紙乾し」の技

 漉いた紙は台の上に次々と重ねていき、数百枚重なった状態のまま重石(おもし)をして水分を抜きます。さらにプレス機にかけて徐々(じょじょ)に圧力を強くしながら搾(しぼ)ります。
 その後、天日(てんぴ)で乾(ほ)します。季節や気候により異なりますが、だいたいひと月ほど乾燥(かんそう)させます。紙はカチカチの状態になります。
 天日乾燥が終わったら再び水で湿(しめ)らせて1枚ずつに剥(は)がし、今度は乾燥器の鉄板に貼(は)って乾かします。この乾燥を「紙乾し」と呼びます。1分ほどで乾燥は終了です。この作業により独特の柔らかさとにじみが生まれます。乾燥器は中に水が入っており、火をたいて水を温(あたた)めるしくみです。鉄板の温度はおよそ70℃に保ちます。
 和紙の原料として一般的な楮の繊維は10mmほどですが、西嶋和紙に使う三椏の故紙は3mm、稲わらは1mmと、繊維が短くて絡み合う力が強くありません。天日乾燥の前の、水分を絞り終えた段階で1枚ずつ剥がそうとしてもうまく剥がすことができないために、いったん天日乾燥をする独特の製法が生まれました。
 いったん天日乾燥してもなお、「紙乾し」は技術が必要な作業です。薄い書道用紙の場合にはなおさらです。このような高い技術が西嶋の和紙づくりを支えています。
山十製紙さんご協力ありがとうございました。
紙乾し

水で湿らせた紙を1枚ずつていねいに剥がし、刷毛で鉄板にきれいに伸ばしながら貼って乾燥させます。一瞬も気の抜けない作業です。
紙乾し