身延の民話




【地区】
古関
旧下部町
古関地区

【ジャンル】
動物
動物

【キーワード】
歌や呪文・言葉の遊び
歌や呪文・言葉の遊び
【出典】 『下部町誌』 (下部町誌編纂委員会 1981)
きつねと馬方
 きつねとうまかた
 古関(ふるせき)の作兵衛(さくべえ)は今日もから馬をひき家路(いえじ)に向かった。この道50年毎日木炭(もくたん)を馬につけ往復(おうふく)している道だから夜道(よみち)は何とも思わない。照坂峠(てるさかとうげ)にかかると子供が降りてくる。「みやげを買って来とうか」と孫(まご)の甚太郎(じんたろう)だ。

 「まてよ!峠を越えるはずがねえ。きつねかたぬきに違いねえ」

 こらしめてくれずと考えて馬にのせ、途中(とちゅう)道が悪いから落ちないようにと荷なわで鞍(くら)へしばりつけた。頂上で「小便」とせめたがほどかずに家までつれて来て、本物の甚太郎に「きつねを焼いてくれら」と言ったので、きつねはついに馬の背中で正体(しょうたい)を現した。泣いて謝(あやま)り、峠の方へとんで帰った。

 次の晩(ばん)峠を通ると、「ケツあぶりじん爺(じい)が通らあ、ケツあぶりじん爺が通らあ」という声がした。

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