身延の民話




【地区】
大須成
旧中富町
大須成地区

【ジャンル】
動物
動物

【出典】 『中富町誌』 (中富町誌編纂委員会 1971)
むじなと犬
 むじなといぬ

 昔、鎌倉(かまくら)の建長寺(けんちょうじ)の住職(じゅうしょく)であったある名僧(めいそう)が、布教(ふきょう)のため諸国(しょこく)を托鉢(たくはつ)した。たまたま大塩(おおしお)の法永寺(ほうえいじ)に立ち寄(よ)り、村人に説法(せっぽう)したときのことである。建長寺の住職ともあろう名僧が来るについては、道さきざきの犬はみんなつないでおくよう、おふれが出された。

 住職は法永寺で昼食をとることになったが、給仕(きゅうじ)はいらぬからといって村人を全部堂外(どうがい)へ出させた。不思議(ふしぎ)に思った村人が、堂の締(し)まり戸のふし穴から中をのぞいて見ると、住職はお膳(ぜん)に料理をぶちまけて、四つんばいになって、口先だけで食べていたのである。

 その後托鉢先で、この建長寺の住職が、つながれていた犬にかみ殺されたので、土地の村人たちがこもをかけておいたところ、これがむじなの死がいに変わっていたということである。

 同様の伝説は切石(きりいし)にも伝わっている。

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