宮木(みやき)の井戸田(いどだ)の山のふもとに姥(うば)神様が祭ってある。
昔あるおばあさんが、せきのためたいへん苦しんだ。そして、「こんな苦しみは自分ひとりでたくさんだ。自分がもし死んだらうば神として祭って、せきで悩(なや)む人々は、真綿(まわた)をひとかけら持って来て、わたしの首に巻(ま)いてほしい。その代わりにわたしの首に巻いてある真綿を首に巻けばせきがなおる」と遺言(ゆいごん)して死んでしまった。
以来、せきに苦しむ人は、真綿をうば神様の首に巻き、うば神様の真綿と交換(こうかん)した。せきが治(なお)れば新しい真綿をお礼として、うば神様の首に巻いたという言い伝えがある。戦前は年に一度お祭りをしたが、戦後いつとはなくとだえてしまったという。
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