昔、丸山に「きっかね」というお大尽(だいじん)が住んでいた。お金はあったが、子供がなかったので、ぜひ子供を授(さず)けてほしいと、神様にお願いした。その甲斐(かい)あって男の子が生まれた。
きっかねの家では大へんよろこんで、早く大きくなるようにと一心になって育てたが、どうしたことか、その男の子はいくつになっても立つことが出来なかった。両親はいろいろ心配したがどうにもならなかった。そうこうしているうちに月日がたった。
ある日のこと、両親は袋(ふくろ)にお金をたくさん入れて、子供のそばにおいて「どうだお前もこの金を使ってみるように早くなれよ」と子供をはげました。すると、どうだろう。突然(とつぜん)に、足腰(あしこし)たたない子供は、急にその金袋をもって、中山の中腹(ちゅうふく)にある大きな石の穴の中へ入ってしまった。
それからその大きな石を黄金石とよぶようになったという。今でもその巨石のまん中には外からふたでもしたようになっている。
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