御弟子請状之事 文化元年(1804)


【解読文】

     御弟子請状之事
一 我等倅勘五郎と申者貴殿之御弟子ニ
 被置被下候年季之儀者当子之暮ヨリ
 申之暮迄礼奉公共八年季ニ相定申
 上者御家之御作法相背申間敷候同然
 御気ニ入不申候ハバ何時成共御出シ可被下候年
 季之内如何様之義出来仕候共貴殿へ
 少茂御苦労かけ申間敷候年季之通
 相勤不申御隙請候共猥ニ師匠取申間敷候
 末々迄師弟之儀式相勤可申候若違背
 仕候ハバ大工職御押可被下候右年季之通
 相勤首尾能御暇被下候節者大工一通
 之御道具者被仰付可被下候為後日仍而如件
  文化元年
     子ノ極月
          親  角左衛門(印)
          証人 仙右衛門(印)
       儀兵衛殿
【読み下し文】

     お弟子請状の事
一 我等倅勘五郎と申す者、貴殿のお弟子に
 置かされ下され候、年季の儀は当子(ね)の暮より
 申(さる)の暮まで、礼奉公共八年季に相定め申す
 上は、御家の御作法相背き申す間敷候、同然
 お気に入り申さず候わば何時なり共お出し下さるべく候、年
 季の内いか様の義出来(しゅったい)仕り候共貴殿へ
 少しも御苦労かけ申す間敷候、年季之通り
 相勤め申さず御隙請け候共みだりに師匠取り申す間敷候、
 末々まで師弟の儀式相勤め申すべく候、もし違背
 仕り候わば大工職御押さえ下さるべく候、右年季の通り
 相勤め首尾よくお暇下され候節は、大工一通り
 のお道具は仰せ付けられ下さるべく候 後日の為
 よって件(くだん)の如し

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